「にゃっ」
「うご」
「ぐはッ!」
三つの間が抜ける声が響いたのは某月某日、秋の香りが漂いはじめた等々力不動での出来事。
状況としては簡単だった。自分から注意が逸れた隙を見計らった天童が等々力不動に漂う陰氣をかき集めいま正に変生しようとしたその瞬間、空から二人の人間が落ちてきたのだ。来訪者に押しつぶされた天童は当然のこと、それと対峙していた面々も頭が真っ白になった。だが、そうなった一番の理由は来訪者の片割れが見覚えがある所の話ではないからだった。
「………僕がもう一人?」
その人物を見て龍麻が呆然とつぶやく。真神の制服こそ着ておらず私服だったが背格好から顔の造りまで全てが龍麻と瓜二つの少年だったから。
もう片方の少年もこの場の誰もが見知らぬ少年だったが、格好がえらく珍妙――頭に怪しげなゴーグル、アサルトベストを着込み、明らかに銃火器にしか見えない物を肩にかけ、腰には剣をさげた何処からどう見ても不審人物――であまりお近づきになりたくない類の人種のようだった。
戸惑う龍麻たちを尻目に、来訪者たちは落ち着き払っているように見えた。少年など、さっそく興味津々に辺りを見回し物見遊山気分全開。しかしふと龍麻へと目を留めるとその少年は目を丸くして叫んだ。
「おぉっ、なんだか龍兄の生き別れの双子っぽいのがいるー!」
「いや、僕一人っ子だから。宿星とかその他諸々の絡みからいって、血の繋がった兄弟とか有りえないから」
『宿星』という言葉に何名かが反応したがそれだけだ。言った後で私服姿の龍麻は、説明をした当の少年がソレの意味を知らない事に思い至ったが「ま、良いか」と開き直ってみる。要はニュアンスが伝わればいいのだ。ついでにそっとささやいた「あ、異母兄弟なら有りえるんだっけ」という呟きも少年には届かなかっただろう。
「……じゃあドッペル? 龍兄にターゲットロックオン?」
「彼はドッペルじゃないから無用な心配だよ、それ。……ま、仮にドッペルだったとしても返り討ちだから心配は無用ってね」
「生き別れの双子でも無く、ドッペルでも無いそっくりさん? けどさ、俺の気のせいだったらアレなんだけどさ、龍兄はあのそっくりさんの事知ってる感じだよな?」
「……嫌ってほど知ってる。てゆーかアレ、そもそもそっくりさんじゃないし」
場所と顔ぶれで大体の状況を把握した私服姿の龍麻はうんざりとした表情で呟いた。
「…………生き別れじゃなくて、そっくりさんでもない。なおかつ龍兄自身が嫌ってほど知ってるって事は――本人?」
なおかつ学生服を着ている本人。という事はつまり――タイムスリップ? となるとここは――
「龍兄っ、まさか天香以外でも学生やらされてた事がッ!?」
「うんうんそうそうあの某バスケ部監督激似な医者に強引に……って、ちっがーう! というかくーちゃんッ、僕にだって現役高校生だった時代があったって発想は!?」
…………ぽんっ。
「おおっ、言われてみれば! てか高校生なんだ? 俺はてっきり中学生かとイエナンデモナイデス」
「物分りが良くてよろしい。けど中学校の制服なら、くーちゃんだって知ってるハズなんだけどなぁ」
「あ、そだった。中学卒業するまではお隣さんだったもんな。……となると、高校生てことは俺と龍兄は7歳違いだから龍兄の現役時代というと――」
「――1998年の9月頃、かな」
「へー、1998年っていうと俺まだ小学生のちみっ子かー。……てゆーか、あんましヒントとか見当たらないのにそこまで特定できるって凄くね?」
「まー、思い出深い日だったというか。普通は滅多に無い経験だからというか。天童を袋叩きにした思い出の夏の日だったからというかー……」
「あのー……。まさかとは思うけど……ですけど」
その時、誰も口出しできなかったこの状況であえて声をあげた者がいる――龍麻だ。
「キ……じゃない。あなたは僕、なの? ……いや、僕なんですか?」
その戸惑いながらも畏まった昔日の己の話し方に、そういえばこの頃はまだ少しだけ人見知りの気が残ってたっけ? なんて懐かしく思いながら、私服姿の龍麻が「そんなにかしこまらなくっても大丈夫」と言ってやると龍麻も少しだけ落ち着いたようだった。
「でもって僕は未来から来たキミ自身さッ☆」
「うっわ、龍兄のその笑顔うさんくさー」
私服姿の龍麻は満面の笑顔とアランが乗り移ったとしか思えないオーバーリアクションで質問に答え、横でごちゃごちゃと何かを言っている弟分に愛の鉄拳を一つ。「いたた……」と目じりに涙を浮かべる少年をよそに「他に質問は?」と聞き返す。
「そのー、そっちの変な格好…………いや、えっとその……変わった格好してるのって、まさか……」
「ご名答。この変わり果てて変なカッコしてるのはくーちゃんこと僕らの弟分・葉佩九龍君だとも!」
あまりといえばあまりな物言いに龍麻が小声で「本人の前でそれはちょっと言い過ぎ……」ともらす。正面きって言う度胸が無さそうな様子に本当にここは過去なのだなと痛みを堪えて少年――九龍は目を丸くする。
「……うーわー。変わった変わったとは思ってたけど、こう実物を比較できる状況になるとアレだなー。叫びたくなるよなー。昔の素直でオドオドしてた龍兄はドコに! ってな感じの事を大声で」
「あっはっは、恨むんなら僕の荒んだ高校3年生時代を恨むことだね!」
「高校3年限定!? マジで何があったんだよー」
周りの状況などお構いなしに、そして「タイムパラドックスて何? おいしいの?」と言わんばかりに盛り上がる来訪者達だったが――
「――お前ら。盛り上がってる所悪いんだが……ここが何処だか忘れてんじゃねぇの、かっ」
いつの間にか忍び寄ってきていた天童が間髪入れず刀を一閃。直前に声があがったため奇襲にはならなかったが、それでも一般人ならば重傷は免れないほど鋭い一撃だった。しかしソレを龍麻は慌てて、私服姿の龍麻はむんずと九龍の首根っこを掴み「おっと危ない」と危なげなくあっさりと避けた。
「チィッ、避けやがるかよ。ならコレならッ!」
「はっはっは、僕の回避力を舐めんなっての。逃げ足の速さならこの場で一番だよ!」
「おー、龍兄カッコイイー!」
おちょくるような言動をする私服姿の龍麻の態度が余程頭にきたのか一撃でも当てようと何度も刀を振るう天童。だが面白いように当たらない。それを挑発する。躍起になって刀を振る。更に挑発、更に振り回す……――エンドレスだ。傍で見ている九龍は囃し立て、隣では龍麻が呆然とその光景を眺めつつ座り込んでいる。
呆然とその光景を眺めるのは何も龍麻だけではない。
「……なァ、醍醐。この先何があったら今のひーちゃんがああなると思う?」
「俺に聞かれても、なぁ。……桜井はどう思う?」
「えっとー、ボクに振られてもちょっと……。ねェ、葵は?」
「えっ、私!? ……その、私にも判らないわ」
彼らの知る龍麻とは百八十度違うと言っても過言ではない目の前の人物に、誰もが複雑な心境だった。そして皆がその胸に抱いた想いは一つ――龍麻をあんなひねくれ者にしてはいけない、と。
一方、無限に続くかと思われた天童と私服姿の龍麻とのやり取りは――
「……テメェ等の正体なんざどうでもいい」
やっと自分のやっていることが不毛だと気がついたのか、息を荒くした天童が動きを止めた。やっと冷静に状況を把握できるようになったのかと思えばそうでもない。目は据わったまま――通常の三割増し――だ。対して、その天童以上に動いていたと思われる私服姿の龍麻の息はたいして乱れていない。
「本っっ当に気にしなくても良いの? 気にしたほうが良いと思うけど。……降参するなら今のうちだよ?」
「――うるせぇッ! そのツラ二度と目にしなくてもいいように今ここで引導渡してやるッ!! テメェ等みんなまとめて外法ってヤツを――」
「見せなくていいから」
容赦無く天童のセリフをぶった切り、私服姿の龍麻はいずこからか出した古い剣を振るった。途端、沸き出でる炎を伴った衝撃波が天童を襲う。
「あちィッ! テメッ、いきなり何しやがるッ!!」
炎の熱さに少しばかり声を上げる天童。だが《氣》の守りがあるせいか「人のキメ台詞を遮るんじゃねェよッ!」とかふざけた事が言える余裕はあるようだ。ちょっぴり焦げた位で他のダメージは見当たらない。
「……チッ、やっぱりあんま効いてないか。くーちゃん、援護よろしく!」
「りょーかーいっ!」
大して必要無さそうな救援要請だったが、ノリノリでガサゴソとアサルトベストを漁る九龍。
「――じゃーんっ。ここに取り出したるはタネも仕掛もありまっせーん! ……な、風船爆弾! それをおもむろに投げる俺」
「とりゃぁぁっ」と気合一閃。トレハンにしておくにはもったいない見事なフォームでソレを投擲する九龍。近接戦闘が苦手――というより化け物との戦闘が多いにもかかわらず、その類が苦手だった彼は中・遠距離戦闘しかできなかった――な分、彼の中・遠距離攻撃の威力はそれなりに高い。ゆえに――
「ぐはぁッ!」
風船爆弾は見事に天童の顔へヒット。そして衝撃で割れた風船から何かぬめーっとした琥珀色の液体が、彼の顔を滴り落ちる。
「ぐ、何だこれ…は……っ、まさかこりゃあ――」
割れた風船から滴るヌメヌメした液体の正体に天童が気付いた刹那。
「――で、再びおもむろに荒魂剣を振る僕」
やはり容赦なく荒魂剣を振るう私服姿の龍麻。液体の正体、それは言うまでも無く油だった。しかもロゼッタ印の調合法で作られた風船爆弾の中身。そしてロゼッタ印の調合法で作られた武器――それは身近な材料で作られたとは思えない程の威力を発揮するのが常。
――結果。等々力不動に一つの巨大な火柱が出現した。
* *
戦いは終わったかに見えた。
「……なー、龍兄。流石にやばくね?」
プスプスと未だ火の燻る火元を見て、九龍が不安そうに声をあげた。ついついノリに乗って化人に遭遇したときと同じ対応をしてしまったが、あの永○園の回し者――制服? の下部分の波模様がそんな感じに見えた――みたいなにーちゃんは無事なのだろうか?
「大丈夫大丈夫。初撃だって殆ど効いてなかったんだよ? 油で威力が五割増になったくらいで、くたばったりしないって」
「……クソッ、こんな軽いノリでやられてたまるかァッ!」
龍麻の言葉を証明するかのように天童が立ち上がった。
「うわー、ホントだ。それにしてもあれで無事とか、あの永○園のにーちゃん普通の人間じゃないなー……もしかして《墓守》? 《墓守》なのか?」
「《墓守》じゃなくて《人ならざる力》を持つ者……略して《魔人》だよー」
全然略してねぇとはつっこまず、「ギャグ漫画だったらアフロになってる場面だよなぁコレ」とか暢気に言ってる弟分を微笑ましく見守りながら会話に応じる龍麻。
「へぇ~っ、すっげー! 《魔人》てすげーんだなっ、龍兄っ!」
「そだね。でも、ここらで決定打が欲しい所だなぁ」
兄貴分の言葉に、九龍は懐からちょっとばかり流行遅れに見えるサングラスを取り出し熱心に天童を観察し始める。そのサングラスは壊滅的なほど彼には似合ってはいなかったが、ソレはスカウターなんて目じゃないほど高性能な敵サーチシステムを内蔵したとてもすごいアイテムなのだ。
そうしてふむふむと穴が開くほど天童を注視していた九龍は何かに気がついた。
「……あっ。なぁ龍兄、アイツ《魔人》な上に《鬼》なんだって!」
喪部と同じだな! ということはアイツも喪部みたく紫色の一本角になんのかなっ? な?
やけに弾んだ声で目をキラキラさせる九龍に、くーちゃんって化け物苦手だったんじゃなかろうか? という思考が龍麻の頭を掠めた。まぁ、見た目がまだ人間だから大丈夫のかもしれないという気がしないでもない。
「鬼……まぁ、解釈の仕方によっては間違っちゃいないけど」
「人の心を捨てて鬼になる」という意味では、もう鬼と言っても良さげではある。鬼道衆の元々の結党理念もそんな感じだったはずだと内に眠る誰かも囁いている。それに龍麻自身の記憶でも、この後だったかいつだったか……天童が鬼に変生してたような気がするから間違っちゃいない。
だが喪部と比べては天童が可哀想だろう。変生して弱体化するあっちと違って、こっちはキッチリとパワーアップするのだから。まあ、それもどうでもいいことではある。
「おー。なら俺に考えがあるんだ……鬼といえば!」
「鬼といえば……?」
「ヒミツ兵器がここに……!!」
じゃーんと九龍が取り出したのは豆だった。枡に入った山盛りの豆。
『豆?』
来訪者以外の全員の声が唱和する。どこからどう見ても普通の豆だった。
「普通の豆じゃ無い! 特別製だッ!」
「何処からどう見ても普通の豆にしか見えねェんだがよぉ?」
何だかんだいって付き合いのいい天童が、一同を代表して問う。
「特製も特製☆ この豆はキッチリしっかり炒ってあるのサ!」
「あ、ちなみに炒ったのは僕だよー。手ごろな火がなかったから巫炎で」
* *
「鬼はー外ぉーっ、福はーうちッ!」
「鬼はーそとー福はーうちー」
ていっ、ていっ、と豆をぶつけ続ける二人。片方は未だノリノリ、もう片方はさすがに疲れを隠せない状態だった。それというのも――
「……クククッ、効かねェなァ……!」
強気な言葉とは裏腹に、憔悴しきり今にも倒れそうなほどボロボロな姿を晒している天童。抜いた刀を支えに気力だけでその場に立っているようなものだった。鬼道衆の頭目として炒り豆で倒されるのだけはプライドが……というのが本音だろう。
こんな状態が20分ほど続いていた。他の人間からは最早「鬼道衆との最終決戦だ!」なんて意気込みは消えていた。むしろ同情気味。
しかし、そんな空気が読めない人物が一人。
「くぅぅっ、ちょびちょび投げつけてたとはいえ特製炒り豆(攻撃力250)×10個さらに×2に耐えるなんて……!」
鬼のクセにィ~~ッ。
きぃぃぃーーッと、ハンカチがあったらまず間違いなくかみ締めるだろう形相で悔しがる九龍。なんだかその目は微妙に危険な色を帯び始めていた。そして――
「……こーなったら禁断のコレで行くしか!!」
彼が懐から取り出した物体を見て、さしもの龍麻の顔色も変わった。
素粒子爆薬(攻撃力850)。
――って、ソレいくら天童でもヤバいから!
「くーちゃんっ、気持ちはわからないでもないけど! せめてニトロマイト(攻撃力400)か混合爆薬(攻撃力350)で勘弁してあげてぇぇーッ!!」
「止めるな龍兄っ。漢には殺らなきゃならない時があるんだ!」
「ならせめて丹波(攻撃力420)で!」
「やだ、弾代高いモーン。50個で12万円とか暴利だろジェイドショップ」
「確かに翡翠が守銭奴亀なのは認めるけどっ! 今くーちゃんが持ってるソレに比べたら安いもんだってば!!」
「問題なっしんぐ。こっちは横領すればなんとかなるっ。なんたって横領したらタダだし!」
「いや、別のイミで問題アリアリだから」
「……言われてみればそんな気が」
「……」
「……」
「――……じゃ、間を取ってガスHG(攻撃力300)ってのは?」
「まあ、それならいっか☆」
再び火柱が立ち上る光景を誰もが幻視した、ある秋の一日の出来事であった。
* *
――翌日、場所は真神学園の3-C教室。
「――っていう感じの夢見ちゃった。……僕、疲れてるのかなぁ?」
やけにバイオレンスだったその光景を語り終えた時、龍麻の気力はかろうじてエンプティになるのを免れていた。前席の机に腰掛けた京一もなんだか疲れた表情をしているのに気がついたが、できるならば気付かないフリをしたかった。
「……奇遇だな、ひーちゃん。俺も似たような夢見ちまった」
京一のその一言で心の平安にピシリとヒビが。しかし龍麻はあきらめなかった。まだ他の人がいる! 他の人も同じ夢を見てなければまだ救いが――
そこへガラリと扉が開き、葵と小蒔が連れ立って教室に入ってきた。
「うふふ、おはよう。龍麻に蓬莱寺君」
「おっはよー、二人とも! 朝っぱらから、なーに疲れたカオしてんのさ?」
「……あー、それがな。俺もひーちゃんも妙な夢見ちまってよぉ」
「……ねぇ、それって――」
「……あの、それって――」
思いがけず揃ってしまった声に、小蒔と葵はお互い顔を見合わせる。
「空から落ちて着たもう一人のひーちゃんと、不思議な格好をしたコが九角クンを……」
「空から落ちてきたもう一人の龍麻と、顔見知りらしい男の子が九角君を……」
「…………」
奇妙な沈黙が場を支配し、周りの喧騒がヤケに一同の耳に響いた。できれば夢だったら良いなぁと切望していたあの出来事はやはり現実だった。そして、あの場に居た者の全てに等しく精神的ダメージを与えていたようだ。
「…………念のために大将にも確認しとくか? 他の連中にも」
「確認するまでもないよーな気がしてきた……」
龍麻は一気に気力を失い、机に突っ伏した。けれども悪夢の元は去ったのだから、これから先は心安らかにゆっくりできるはず。
そう信じていた。この時点では。
しかし、やはりというべきか悪夢は終わってはいなかった。
「と、突然だけれどHRに入る前に新しい転校生のコを紹介、します……」
朝のHRが始まった途端、担任であるマリアがやや引きつった表情で《二人》の転校生をお披露目した。
「俺は一家に一人は欲しい歌って踊れる《宝探し屋》葉佩九龍! よろしくなっ!」
朝からやけにテンションの高い少年と――
「僕は彼の相棒でブレーキ役の緋勇です。一応このクラスにいる龍麻君とは生き別れの双子の兄とかそういう設定でよろしくお願いしまーす。……あ、名前は同姓同名でややこしいんで、あだ名とか付けて呼んでくれると助かるかも。それから余計な詮索は死を呼んじゃったりするかもしれないので却下」
龍麻そっくりな容姿で、何やら不穏当な発言をする人物を。
「なんでお前らがココにいんだよッ!?」
周りの視線など気にする余裕も無く京一が声をあげると、龍麻のそっくりさんが「それがさ……」なんて困ったような表情で語った。
「くーちゃんにウッカリ旧校舎の話したらトレハンのサガが疼きだしたらしくて。困ったモンだよねぇ」
「遺跡とか遺跡とか遺跡じゃなくても不可思議なモノある所にトレハンあり! ナゼならそれがトレハンだからさ☆」
「……こうなると僕でも止められないんだよ。何せ僕ってばトレハンとしては弟子だから師匠には従わないと」
「というわけで短い間だと思うけどヨロシクな、京一にーちゃん!」
「てめぇなんぞにヨロシクされたくねェッ!! 俺にヨロシクしてくれるのはキレイなねーちゃんだけで十分だぁぁッ!!」
かくして真神の護人と《宝探し屋》コンビ、そして東京の護人たちの(ある意味)激しい戦いの火蓋が気って落とされた……かもしれない。